ショコラティエール デリス モア(兵庫) / オーナーショコラティエール 
大勝 久美子さん

「私は毎日チョコレートを作って幸せ」

熱意でショコラティエールへの道を切り拓いた、母親でもあるヒーロー

 

 

兵庫県西宮市、関西学院大学に続く道に、大学の校章と同じ三日月をロゴにした店、「デリス・モア」があります。同大学の卒業生でもある大勝久美子さんが営むチョコレート専門店だ。彼女のイメージそのままの、可愛らしいデザインのチョコレートが小さな店内に詰まっています。ですが可憐なショコラティエールの素顔は妻であり、母であり、敏腕経営者。「楽しんで働いている母の姿を見てもらいたい」と話す横顔がとても凛々しいのです。

 

■ケーキ屋ではなく『チョコレート屋』

 店に置いているのは、ボンボン・ショコラ53種類にアニマルロリポップ、ベイクドショコラや他の焼き菓子、タブレット、冷蔵ショーケースの中にはプリンやチョコレートとマスカルポーネをホイップしたクリームを挟んだウーピーパイもありますから、全部で100種類以上になるでしょうか。夏にはソフトクリーム、冬にはホットチョコレートも提供しています。オープン当初はケーキ屋と間違われることもありましたが、「チョコレート屋」を貫くために、扱うのはチョコレートおよび、チョコレートを使ったケーキやプリンだけと決めていました。

 土地勘のある母校の近くに店を構えたので、お客様はやはり関学の生徒さんや先生が多いです。先生には職場で食べるためのボンボンを買っていただいたり、学生は手頃なソフトクリームやホットチョコレートを「自分へのごほうび」としているみたいです。チョコレートが生活の一部になっているようで、お客様のそんな姿を嬉しく思います。プレゼント用には変わったフレーバーのボンボンを何種類か組み合わせて購入する方が多いですが、「自分用に」と選ばれるのは、「ヘーゼルナッツ」や「キャラメルサレ」が断トツの人気です。6年経ってようやく、チョコレート屋として認識されている実感があります。

 

■もの作りがしたくてチョコレートメーカーに就職。熱意を買われて製品開発部門へ

母親がパンやお菓子を作るのが好きで、私も中学生くらいからケーキ屋さんになりたいと思うようになりました。高校生になり進路を決めるときに、「製菓学校に行きたい」と両親に相談したものの、「大学に行っておきなさい」と諭され、大学に進みました。就活時期になると、流されるまま一般企業を受け、損保会社に内定もいただきました。「それで自分は楽しいのか?」と自問していたとき、合同説明会で老舗チョコレートメーカー、「ゴンチャロフ」のブースを見つけました。製造部門の求人はなかったのですが、担当者に話を聞きつつも、気が付けば、「お金を貯めて、製菓学校に行きたい」などと夢を語っていました。その方に「うちの会社に来ないか」と誘われ、試験を受けることになったのです。運よく採用になり、そうして、チョコレートの世界に足を踏み入れました。

 

採用が決まり、大学4回生の1年はケーキ屋でバイトしました。入社して2年目には、半年間、夜間の製菓学校に通わさせていただきました。「チョコレートは難しい」と言われますが、私は最初からチョコレートだけに携わってきたので、比べるものもなく、難しいとは思いませんでした。

入社して半年は製造の各工程を経験しました。その間、お菓子を作りたい一心だったので、後に上司となる開発部の方に自分なりにレポートを書いてアピールをしていたんです。「東京でスイーツめぐりをしたのでレポートにしました」といったように。それが会長にも伝わって、ちょうど空きができた新商品を考案する希望の部署に配属してもらうことができました。

 

■28歳で独立。周囲の協力も得て、結婚・出産を両立

 ゴンチャロフでヒット商品を開発することができ、自分に満足しきって先に進めなくなるのではなくなると不安になり、独立を考えるようになりました。将来的には結婚や出産も考えていましたが、独立とは切り離して考えていました。“ママがやっている店”というイメージにはしたくなかったんです。大学の同級生だった夫も、独立してからお付き合いを始めて結婚に至ったので、お店のことは最初からわかってくれていました。

 オープンから4年目に子供を授かりました。ホワイトデーの繁忙期が終わる頃、切迫流産で入院、3ヶ月は動けなくなってしまいました。5月から出産休暇をとる予定でしたので、それまでの2ヶ月間は1人しかいない部下にがんばってもらいました。出産し、夏の長期休暇を経て、10月に営業を再開。実家の母に営業中は娘の面倒を見てもらい、私も授乳の時間になると一度、家に戻ったりしていました。

 今年4月から保育園に通えることになり、土曜日は夫が世話をするパパデー。3食分を作ってから仕事にでかけています。

 

■小さい頃から細かい作業が大好き。新作を考えるのも大変だけど楽しいプロセス

 小さい頃から工作が得意で、シルバニアファミリー(小さな動物のぬいぐるみを主人公にしたドールハウス)のごはんを作ったりしていました。ボンボン・ショコラの細かい細工をするのも楽しいですね。

新作は、新商品開発が仕事だったゴンチャロフ時代のクセで、常に頭の中では考えています。おかげで頭皮がパンパン。美容師さんにいつも指摘されます(笑) この秋は特に作りたいものがいっぱいで、新作がたくさんできました。クリスマス、正月、ひなまつりなどの年中行事をテーマにしたボンボン・ショコラセット、関学のミスコンとコラボした商品も定番化しています。ときにはお客様からのリクエストで商品が誕生することもあります。この「唐辛子」は常連様のリクエストで作りました。

転写シートをはがしたり、モールドからはずしたりした瞬間は、いつでも「子供たちができあがった!」という気持ちになります!

 

■独立・結婚・出産、そして未来

 店名の「デリス・モア」というのは、フランス語で「私にとって最高の喜び」という意味です。お客様をハッピーにしたいという思いと同時に、チョコレートの仕事は私にとっての喜びです。娘がいると、「彼女が喜んでくれるものを作ろう!」と仕事の励みになります。娘にも、「母はこんな仕事を毎日して楽しく暮らしているよ!」という姿を見てもらいたいです。いつか大人になった娘が、私と同じように好きなことを見つけて、打ち込んでくれたらいいな、と思います。でも当の娘は、ユニフォームを着て店にいる私を見ても、母親とはわからないみたいです。普段のママと表情が違うかもしれませんね。(笑) あと2~3年くらいしたら、看板娘になってくれるといいのだけど。

 

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兵庫県西宮市 上甲東園3-9−8